Big Brother is watching you.

拙 bog エントリ『新しい中傷手法』で書いた、まさにそのものズバリのトラブルが、既に裁判沙汰になっているのは、皆さんご存知のことと思う。

グーグル検索の機能で犯罪連想、表示停止命じる

グーグルのインターネット検索サイトに自分の氏名を入力すると、「サジェスト」という機能によって犯罪を連想させる単語が表示されるのは名誉そんなどに当たるとして、日本人男性が米国のグーグル社に表示の停止を求めて仮処分を申し立て、東京地裁(作田寛之裁判官)が19日付の決定で停止を命じたことがわかった。

男性側の代理人によると、同機能の停止を命じる司法判断は初めて。同社は停止を拒否しており、現時点でも表示される状態が続いているという。

代理人の富田寛之弁護士によると、グーグルの検索サイトのキーワード欄に男性の氏名を入力すると、犯罪をイメージさせる単語が検索候補として表示され、選択すると男性を中傷するサイトが多数並ぶという。

男性はこれらの犯罪に関係した覚えがないのに、サイトの書き込みを理由に就職の内定が取り消されたこともあるといい、昨年10月、同地裁に仮処分を申し立てた。

審尋で同社側は「意図的に表示したわけではなく、検索候補として単語を並べただけで名誉毀損には当たらない」と主張したが、地裁は、男性の氏名を入力した場合の犯罪関連の単語の表示に限り、停止を命じた。

(2012年3月26日 読売新聞)

ちなみに、今日の時点で、google は「日本の法律で規制されることではない」「社内のプライバシーポリシーに照らして削除に該当する事案ではない」として決定に従わない方針を表明している。

ここ最近の google の振舞いに、正直言って僕は非常に強い違和感を持っている。google のトップは、google 創業のきっかけになった「情報の価値付け」技術である PageRank を開発したラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、そして lex の開発者として著名なエリック・シュミットの三人による、いわゆるトロイカ体制なわけだけど、このような google の貪欲、かつ傲慢な戦略は、エリック・シュミットが会長に就任した去年初め頃から顕著になってきたような気がする。無論、その何年も前から、現状の布石は敷かれていたのだろうけれど、それにしても、去年以降、あっれー google ってもっと cool な社風じゃなかったけ? と首を捻ることが多過ぎる。

新しい中傷手法』を御一読いただければお分かりと思うけれど、上の事件の恐怖というのは、僕にとっては決して他人事ではない。僕の場合は、むしろ積極的に google の bot に情報を渡すようにして、僕を中傷するようなキーワードに対しては、自分が書いた『新しい中傷手法』へと誘導するような戦略で、先日の件に対抗しているわけだけど、僕個人に対して何らかの調査などが行われた場合を想定すると、あのような中傷があったというだけでも、僕には大きな損失なのである。たとえ書かれていることが無根拠なことであったとしても、だ。

ジョージ・オーウェルの『1984年』には、 Big Brother を賛美させんがために毎日午前11時から放送される "Two Minutes Hate" というプログラムの話が出てくる。このプログラムで、人々はスクリーンに投影される Emmanuel Goldstein に向かって怒号を浴びせ、その後に登場する Big Brother に賛美の歓声を向けるのである。Big Brother のために蹂躙される個人の存在など、彼等は気にもとめない。蹂躙される方に回りかけた僕には、これは骨身に染みた現実なのだ。

btrfs

先に書いた通り、破壊された環境を復旧させるべく不毛な作業に時間を割いているわけなのだけど、今回の作業では Linux 絡みのパーティションも全て新規に組むことになったので、ファイルシステムをどうしようか、と少し悩んだのだった。

現時点で、Linux のシステムで最もポピュラーなファイルシステムは ext4 だろう。Linux 正統とも言えるこのファイルシステム、リードライトも速いし信頼性も低くはないのだけど、次世代の btrfs に道を譲る日が来るのか……などと言われて久しい。まあ実際には、その btrfs の開発も進捗が捗々しくない状況なのだけど、現時点の Debian GNU/Linux では、btrfs ベースで環境を組むことは不可能ではない。

で、ちょっと実験してみたのだけど……結局、今回も ext4 ベース、という結論になった。btrfs は、実験して「え?」と思う程にリードライトが遅い。これぁダメでしょう。正直、使う気にはなれない。以前 XFS ベースでシステムを組みかけて、ライトの遅さに嫌気がさして元に戻した時以来のショックであった。

そう言えば、某 M 氏は ReiserFS で組んでたっけなあ……しかし、この ReiserFS 改め Reiser4 も、最近はひどく評判が悪い。結局他に選択肢がない、という状況で ext4 を使っているのだけど、この先のことを考えると……不安だなあ。ファイルシステムってのはシステムの土台だから、次世代を担う鉄板ファイルシステムの登場を熱望しているのだが……

結局、Windows も

恐ろしい事態が発生した。Windows を HDD の先頭のパーティションに入れていたのだが、これがブートしなくなってしまった。見ると、どうも ntfs を Linux で扱っていたときに、パーティションに関する情報が壊れたらしい。さあ、どうするか……観念した。まだ Linux からこのパーティションを扱える段階で重要なファイルのバックアップを取り、ちょっと前にとった Linux 側のバックアップと合わせて、shannon 上の全部システムの総入れ替えを行なうことにしたのだ。

で、さっきようやく Windows の復旧が終わり、デフラグをかけているところである。僕は Windows 固有のロールバックシステムやインデックスシステムを全く信用していないので、これらをすべて停止させて HDD の不要なファイルをすべて削除した。ユーティリティのインストールが終了するまでは、仮想記憶も切って、ページファイルも削除した状態にしてあるのだが、この状態でシステムはどの程度 HDD を食っているだろうか。ちなみに前にも書いたけれど、shannon のシステムは Windows Vista Home Basic X64 である。

答は……なんと28 GB。上に書いたようなことをしていないと、default では 100 GB 近くも HDD が消費され、しかもロールバックやインデックスに関わる部分は常に書き換えられているから、フラグメントがそりゃあ無残な状態になっているはずなのだが……世間の人達は、本当にこんな状態で皆システムを使っているのだろうか? 僕にはちょっと信じられないのだが。

反吐が出る

まあ、Twitter とか SNS のサービスとか facebook とか、世間には「つぶやく」メディアが数々あるけれど、地震や原発絡みで、さも自分はそういう事々の痛みに心を向けているのだ、と装っているらしき輩が最近目について仕方がない。

たとえば、先日、我が郷里茨城県で、原発事故が発生したと想定して、県内にあるバス等を総動員して県民を避難させることが可能かどうか、という試算が行われた。

【茨城】県内のバス総動員しても24万人どまり 東海第二原発 一斉避難は不可能

東海第二原発(東海村)の再稼働問題をめぐり、橋本昌知事は五日の県議会本会議で、同原発事故が発生した場合の避難について「県内のバスを総動員しても一回に二十四万人しか搬送できない」との試算を示した。三十キロ圏内の自治体の総人口は百六万人で、知事は「一斉に避難させることは不可能」と述べた。井手義弘氏(公明)の代表質問に答えた。

県によると、把握している県内の路線や通学、自家用等の全バス約七千台に平均定員の約三十四人を掛けて試算した。震災などの大災害時の混乱や道路損壊などを考慮すれば、県内各地から三十キロ圏内にバスが集まり、運び出すことも難しいとみられる。知事は「国が防災対策等、どう方針を示すか注目する」と加えた。

また井手氏は、原発の稼働は原則四十年と国が示したことを受け、三十三年経過した東海第二原発は稼働期間が残り少ないとして、その後の村の将来像も質問。知事は「これまでに蓄積した村の施設や優秀な研究者を生かし、つくば市とも連携して世界最大の巨大加速器を備えたスイスの欧州合同原子核研究所(セルン)のような科学拠点都市として発展することを期待する」と述べた。

(2012年3月6日, 東京新聞)

まあ、これは深刻な話である。現在、茨城県内には商業用原子炉は東海第二原発にある1基しかない。しかも首都圏に近く、常磐高速もあってクルマ交通の便が良い茨城県でこの状態である。他の都道府県においては、これより問題が深刻であることは言うまでもない。

しかし、これを読んだらしい輩の、こんなつぶやきがその直後に僕の目に入ったのだ:

逃げられないのか茨城。
……はぁ。たとえば愛知県辺りだとして、これがそんな他人事だと思っているのだろうか?繰り返しになるけれど、茨城県には商業用原子炉はたったひとつしかない。しかもその規模は小さい。隣の県、しかも東海地震の中心と目されているところに、あれだけの数・規模の商業用原子炉が集中しているところに住んでいて、どうしてこれを我が事として捉えられないのか。

まあ、僕には何となく分かるのだ。全て、事々は big brother の御旨のままだ、と、そこにどっかと胡座をかいて暮らしている人だからこそ、こんなことを平気で書き散らかせるのだ。他者が家族や人生の重みを負うて生きることに、ここまでの傍観者的なコメントを書いて何ら恥じずにいるのだ。論を重ねて研ぎ澄ますことと、論を無意味に混練した挙句に何もかもを混濁させることとの区別が付いていないのだ。

これは何度も書いていることだけど、僕は小学生の頃にビルの7階で宮城県沖地震に遭遇し、大学院生時代に活断層のすぐ横で阪神淡路大震災に遭遇した。今回の地震でも、親父はビルの上階に閉じ込められ、教会や知人宅は石塀が皆倒れ、そして(今まで書きたくなかったのだが今回はあえて書く)福島・相馬に住んでいた親戚はひどい目に遭っている。そう、僕の母方の親戚の一家族は相馬に住んでいたので、今回の件は全くもって他人事ではないのだ。だから、さもそれが分かっているかのような顔をして、ネットで情報を拾い、講演会等にちょろっと行った位で、自分は何もかも把握しているんだ、という顔で軽口をたたいている輩を見ると、正直言って殺意すら感ずる。

おまけに、ネットで情報を吟味することなく収集し、「つぶやい」て「拡散」する、なんてのは、有害だと言う他はない。一応「知ること」を生業とした人間として断言するけれど、我々に第一に必要なことは「知る」ことではない。何かをただ知っても、知ったことの価値を知り、取捨選択することができなければ、演繹的に未知の領域や未経験の事柄に踏み込むことなど出来はしないのだ。そういうことを欠いた浅はかな「知る」行為の結果を、我々は浅知恵という。

我々に第一に必要なことは「知る」こと以前に、「知らない」ことを知ることなのだ。闇を知らずして、そこを照らすことができるはずがない。我々が他者に誇れるのは、吟味されていない物量だけの知識を披瀝することでも、それを蓄積しようと遮二無二あがくことでもない。まず、己の内面に問いかけることなのだ。自分は知らないのではないか、と。僕の経験則として、その抑制を感じられない輩は、知の領域において百害あって一利もない、ただの迷惑な存在でしかありえないのだ。

愛知県というところに住んでいると、本当に厭になる程感ずることだけど、東海地震に備えよ、という話がされるようになってから数十年が経過して、今回の地震に関して、比喩ではなく「明日は我が身」なのにも関わらず、まるで他人事みたいに、日常会話のネタのように軽口を叩いている人々を、僕は彼らの他に知らない。僕が住み出した頃の大阪は、地震の話をしてもピンとこない、という人が多かったけれど、あの阪神淡路大震災でそれもすっかり変わってしまった。もう、そんな寝呆けた連中が大手を振っているのは、この辺位しかないのではないか。

あいたが、という言葉があるけれど、この土地で、僕はこの言葉を一度も耳にしたことがない。僕の郷里の水戸はもともと武家の町だったせいか、僕は幼い頃から、僕を可愛がってくれた爺様達や親父から、聞くともなく聞いて育ったのだけど、名古屋とかって、同じ武家社会の土地じゃなかったのかね?僕がこの土地で聞いたのは、

「東海地震? ああ、どうせ来ないから(笑)」

なんて軽口だけなのだけど。

latex2html(まとめ)

今更ではあるのだが、この blog の関連エントリが TeX Wiki にリンクされているようなので、一読してインストール・使用ができるように、まとめを作成しておく。

当方が UNIX 系の環境をメインに使用しているので、ここでは Linux や Mac OS X 等の OS を前提として書く。Microsoft Windows を使用されている方は、北海道教育大学旭川校・物理学教室・阿部ゼミ半公式ページ で公開されている『Windows に LaTeX2HTML をインストールしよう』を参照されるといいだろう。

latex2html を使用するにあたっては、まず TeX / LaTeX が問題なく使用できる環境を整える必要がある。当方は Linux (Debian GNU/Linux sid) 上で TeX Live 2011 を使用しているが、tlptexlive を追加していても、MacTeX 等を使用されていても、おそらくあまり変わらないプロセスで使用できると思う。

これに加えて、latexhtml は、プレインテキストで記述できない数式などを画像として取扱うために netpbm を使用するので、事前にインストールする必要がある。最大前提として perl、そして日本語を扱うので nkf 等も必要になるのだが、これらに関してはほとんどの distro では最初から入っていると思う。

さて、まずはこれから何をどうするのか、だけど、

  1. latex2html 本体と、日本語化パッチのアーカイブ取得
  2. 上記2アーカイブの展開
  3. configure, make, make install
  4. 個人設定ファイルの設置・設定
という手順で作業を行っていく。以下、順に説明する。

まず本体および日本語化パッチのアーカイブだけど、日本語化パッチの開発者である、新潟工科大学の竹野茂治氏のページにアクセスする。index ページから TeXLaTeX2HTML について ……と辿っていくと、

"LaTeX2HTML (Japanese)": http://takeno.iee.niit.ac.jp/~shige/TeX/latex2html/ltx2html.html
というページに行き着く。ここでは latex2html-2002 以降に関する網羅的な情報が書かれているのだけど、現時点での最新版を入れるために、このページ中『LaTeX2HTML 日本語化パッチ開発版のページ (Japanese)』を見ることにする。

ここには、現時点で最新の latex2html-2008 に適用するための日本語化パッチが公開されていて、オリジナルの latex2html-2008 のアーカイブにもリンクが張られている。ここからまず、latex2html-2008.tar.gz と、現時点での最新のパッチである l2h-2K8-jp20110708.tar.gz を取得する。

上記2アーカイブを同じ path に配置して、本体 → パッチ の順(逆でもおそらく大丈夫だけど念の為)に展開すると、latex2html-2008 というディレクトリが生成されている。ここに入って ls すると、

  • l2h-2K8-jp1.10b2.13.patch(以下 jp1 patch と称す)
  • l2h-2K8-jp2.1b1.13.patch(以下 jp2 patch と称す)
と、2種類の patch が存在することがわかる。jp1 patch は、日本語を取扱う際に nkf を使用する仕様になっている。これに対して jp2 patch では、日本語のコード変換を行わない。この差は何か、という話だが、アーカイブと共に公開されている文書:README.tech.jp-20110708 に詳細な記述があるので、そちらを御参照いただきたい。

ざっくりした話だけ書いておくと、jp1 patch は全ての文字コードに対して対応可能だが、いちいち nkf を介して処理が行われることになり、後で出てくる設定ファイルで適切な文字コードの設定をする必要がある。jp2 patch は、EUC-jp や UTF-8 で文書を扱う限りにおいて、あまり面倒な目にあうことはない。僕は現在 UTF-8 ベースの日本語環境を使用しているので、ここでは jp2 patch を適用することにする。

patch の適用は、単純に、

$ patch -p1 < ./l2h-2K8-jp2.1b1.13.patch
とすればよい。これでディレクトリ内のファイルに対してパッチが適用される。

次に configure だが、注意する点は:

  • --prefix
  • --with-texpath
  • --with-kanji
の3オプションを適正に設定することである。prefix は latex2html の本体である perl スクリプトがインストールされる場所、texpath は latex2html に関わる TeX / LaTeX 関連ファイルがインストールされる場所、with-kanji は使用する文字コードを設定するわけだが、これらを明示的に指定しておく方がいいだろう。

まず prefix だが、default は /usr/local になっている。この場合、

  • [prefix]/bin: 実行形式のファイル
  • [prefix]/lib/latex2html: ライブラリ等
のようにインストール場所が決まる。ひとつ注意しておかなければならないのが、prefix で指定する path の文字列に "l2h" や "latex2html" が(大文字、小文字のいずれの場合でも)入っていると、
  • [prefix]/bin: 実行形式のファイル
  • [prefix]/: ライブラリ等
となってしまう。考えられるパターンとしては /usr/local/l2h や /home/foo/latex2html 等に入れようとする場合があるだろうけれど、この場合には注意すること。

texpath は TeX / LaTeX 関連のファイルが置かれる場所で、これは default は /usr/local/texlive/2011 内になってしまう。これに抵抗のない方も多いのかもしれないが、今回のようなユーティリティのファイルは /usr/local/texlive/texmf-local 以下にインストールされることをお薦めしておく。

kanji オプションは文字コードで、default は EUC-jp である。僕のように UTF-8 ベースの環境で使用する場合には、このオプションで明示的に UTF-8 を指定しなければならない。

以上から、僕の場合の configure のオプションは:

./configure --prefix=/usr/local --with-texpath=/usr/local/texlive/texmf-local/tex/latex/latex2html --with-kanji=utf8
となる。

configure が終われば、そのまま make → sudo make install でインストールが行われ、ls-R の更新等も自動的に行われる。これでインストールは終了である。

あとは、ソースのディレクトリにある dot.latex2html-init-jp を home にコピーすれば良いのだが、これも latex2html で使用する文字コードに合わせる必要があるので、

$ cat dot.latex2html-init-jp | nkf -w > ~/.latex2html-init
のようにコピーを行った後、適宜、設定ファイルを編集していただけばよろしい。ちなみに僕はほとんどそのままで使用している。

元の木阿弥

今日は時間があったので、環境のリフレッシュということで shannon の再インストールを行った。再インストールといっても、/home はもともと別パーティションにしてあるし、めぼしいものは皆バックアップされているので、そう面倒な作業でもない。

ところが、作業中にふと気付いた……あれ、sudo の挙動が変わってるなあ。/etc/sudoers を見ると、

Defaults        env_reset
で環境変数の持ち越しが抑制され、
Defaults        secure_path="..."
で sudo したユーザに新たな path が指定されるようになっている。へー。

いやね、分からないでもないんですよ。これ、一応はセキュリティの対策……のつもりなんでしょうけれど、でもねえ。環境設定で、

alias sudo="sudo env PATH=$PATH"
と alias を指定されたら、もう意味がないような気がするんだけど。

まあ、これは思うに、本当に secure にしたいんじゃなくって、 insecure にならないようにしましたよ、この上で alias で環境変数持ち越してトラブったら、それはこちらのせいじゃないですからね……と、/etc/sudoers が語っているような気がしてならない。世はなべて、責任回避に懸命なんだなあ……と思うと、何とも嫌になる話であった。

無神経

今日は、これを読まれている皆さんも、各々、色々なことを考えられたことだろうと思う。丁度一年前の今日、あの東日本大震災が起きたのだった。

しかし、僕は、今日というこの日に、厭な気分にさせられることが二つもあった。まずひとつは、今日「名古屋ウイメンズマラソン」が開催された、ということだ。まあ、交通規制等の都合もあって、なかなか後から開催日をずらし難いのは分かるのだけど、せめて今日位は何とかならなかったのだろうか。

もちろん、今日という一日だけかしこまっていたって、地震や津波の被害……それは一年前の被害も、そして来たるべき東海・東南海地震で予想される被害に対してもであるのだが……を本当に思い遣っていることになるわけではない、という主張は、僕ももっともだと思う。しかし、だ。今日のような日に、あの地震に、津波に、そして原発事故に、心をを向けずして、ではいつ心を向けるのだ、とも思うわけで、そういう意味では、せめて一週間ずらすとか、スタート前に皆で黙祷するとか、少しはやり様があったのではないか、と言いたいのだ。

そして、僕の所属教会。9時半から、東日本大震災追悼ミサを行った、そこまではいいとして、その後、教会建立50周年式典とパーティーを、よりによって午後2時46分をまたいで挙行する、というのは、これはどういうことなのか。せめて、朝9時半から記念式典をやって、午後の時間を追悼ミサにして、あの時刻に皆で黙祷をすべきだったのじゃないか。こういう時に祈ることもできないで、何がカトリックだというのか。呆れて言葉も出てこない。

え、僕はどうしたか、って? 当然、そんな記念式典はボイコットして、家で政府の追悼式典の中継をつけて、一緒にあの時刻に黙祷していましたよ。当然でしょう。それにしても、この地方の連中の無神経さには、ほとほと嫌気がさしているのだ。これで自分達が地震で被害にあったら、きっと自分達が世界で初めて震災被害に遭ったんだ、みたいな顔をするに違いない。本当に、本当に厭になるのだ。

一番罪深いのは

以前、拙 blog エントリ『「まりん」、虐待、そしてエゴ』を書いた後、U のところに、某猫譲渡団体のメンバー複数から、

「Thomas って人のブログ、削除してもらえませんか?」

という申し入れがあった。なんでも、表向きの理由は、「まりん」を保護した人物をこれ以上刺激したら、猫相手に何をされるか分からない……ということだったらしいけれど、その本音は「内輪の恥を晒されたくない」ということなのは明白だった。U も、この件に関しては完全に頭にきていたようで、「私が Thomas にそんなことを要求するいわれはないんだ」と突っ撥ねた。

この騒ぎの少し前のこと。「まりん」を保護した人物のしでかした不祥事の詳細が伝わってきた。なんでも、この人物は、小学校の事務職員だったのだが、在職中に書類操作で学校の金を横領していたのが発覚した。当然免職になり、更に警察が立件に向けて動いているところだ……というのだ。どう考えても、同情の余地はないのだけど、それに加えて、保護している猫を手放す気も一切ない、ということらしい。

そして、この「まりん」を保護した人物、なんと U に「まりん」を返せと言ってきた。僕も呆れたが、U はさすがに、これは一言物申さねばならない、と思ったらしい。某猫譲渡団体の周辺の人々が、「U さん、お願いだから仲立ちになって話に参加してくれる?」と頼まれたのに応じて団体代表の家に赴き、このまま「まりん」を保護した人物が居座っていたら、この団体自体の信用に関わるんだから、除名するなり何なりすべきだろう、でなければ、団体自体があの人物に加担していると思われても仕方ないんじゃないか、と、皆揃っているところで発言したのだ。

それに対して、この団体の代表は何と言ったか:

「私はあの人を退会させません。マザーテレサ(この代表なる人物は、何かにつけてマザーテレサの言葉を手前勝手に引用するのだけど)も「愛の反対は憎しみではなく無関心です」と言っています。カトリックのくせに、人を切り捨てればいいなんてことをいうあなたは偽善者です!

偽善者と罵られた U とこの代表を前に、周囲の人々は誰も何も言わなかった。請われて話をしに来てこの始末だというのに、である。

……これを聞いて、僕はほとほと呆れ返った。団体の猫の保護活動に関与させない、ということと、路上で死に行く人々に見て見ぬふりをすることとは、似ても似つかない行為であって、そもそも、某猫譲渡団体の代表を含めた面々が、件の「まりん」を保護した人物の抱える問題に向かいあっていない、つまり「見て見ぬふりをしている」からこそ、こういう話になるのではないか。偽善者なのはこの団体に関わり、U に責めを向けようとしている奴等全員の方だろう。そもそも、彼等は、「まりん」を保護した人物が抱える問題を共に担う覚悟があるのだろうか。自分に泥のはねが来ないときだけ「よしよし」とやっていて、自分が少しでも痛みを負うことになったら、とたんに掌を返すことになるのではないか。

しかもこの代表なる人物、ちょっと前に洗礼を受けたのだが、U はこの代表の代母である。何をどうしたら、自分の代母に、それもカトリックの信者が、「偽善者」なんて言葉を向けることができるのか。もう何から何まで、支離滅裂の無茶苦茶である。

憤る僕と対照的に、U はもうすっかり醒めていた。

「彼女があんなことを言って、そして周りにいた人達が皆黙っていた、ってことは、あそこに居た人達が、皆、何が起きても彼女を支えて、揉め事にも責任を持つ、ということなんでしょ。私はとてもじゃないけど、そんな責任持てないから、もう関わらん」

それ以来、U はこの某猫譲渡団体との関わりを絶ったのだった。それでも、一度代母を引き受けたからには、その人が少しでもいい状況になるように祈り続けるし、折々に「元気ですか」と声をかけ続けるんだ、と、U は、この団体代表への年賀状などを欠かしたことはない。しかし、それに返事が返ってきたことは、それ以来一度もなかった。

そして1年半近く経った先日。僕はこの記事を発見したのだった。

http://mainichi.jp/area/aichi/news/20120302ddlk23040279000c.htmlウェブ魚拓のバックアップ

なにせ、先の騒ぎのあったときからの話だから「あーいよいよですか」と思っただけなのだけど、この人物の blog:

http://blog.goo.ne.jp/inochi-harmonyウェブ魚拓のバックアップ
を見ると、逮捕・拘留されたであろう日の直前まで、何事もなかったかのように猫のこと、あるいは誰かと天麩羅を食いに行ったとか……そんなことが書かれている。

実は、僕は密かに「あの猫達はどうなったんだ?」と思っていたのだが、それから数日してのこと……

http://yaplog.jp/sora_neko/archive/1158ウェブ魚拓のバックアップ
http://yaplog.jp/sora_neko/archive/1159ウェブ魚拓のバックアップ

上リンク先にはこんなことが書かれている。

保護主について
言いたい事は山程ありますが
彼女には 過去に 何度か腹立たしく
悔しい思いをさせられて来て

何度も何度も ぶちまけてやりたいと思ってきました

今回も そうです
丸2日間 ろくに眠っていません
はぁ。U が目前で偽善者呼ばわりされたのに見て見ぬふりをして、しかも彼女が1年半前に既にこういう事態が起きる可能性を散々警告したのに、それも見てみぬふりをして、挙句の果てが、あーやっぱり某問題人物のせいにするんですか? ここにはっきり書いておくけれど、アンタラも某代表も、皆共犯なんだよ。この18頭がこんな事態になったのは、他の誰でもない、アンタラのせいなんだよ。都合のいいところだけでいい顔をして、その挙句にね。恥を知れ。

眼鏡完成

日曜の夜、電話がかかってきた。眼鏡ができたので、いつでも取りに来て下さい、というのだが……おいおい、3週間かかるんじゃなかったのかね、と言いたいところを大人の我慢で、では今週中にそちらに伺いますので……と言って電話を切ったのだった。

で、昨夜に取りに行った。「いやーお客様、フレームはこのままでぴったりですよ」本当かぁ? と思いつつも、面倒なのでそのまま帰ってきた。保証書を見ると、どんなレンズを入れたのか分かるはずなんだが……と見ると「ハイライト 70」の文字が。

こういうのは最近はすぐ分かるわけで、これは東海光学の「ハイライト70」というレンズである。同社のラインナップを見ると、ガラス単焦点レンズのラインナップ4種類のうち、下から二番目のグレードで、ガラスの屈折率が 1.705(僕の度数でガラスなら 1.8 以上の高屈折率ガラスを使うことが多い……まあこれでも、プラスチックで「超高屈折率」とうたっているものと同程度なんだけど)、しかも球面レンズ(僕の度数だと視野の歪み等の問題が出るので、非球面レンズを使うことが多いんだが)……はー、なるほど。そういう扱いをされるんですか。

まあでも、フレーム(これはどこだろう……中国か、韓国か、それとも国産か)はそこそこちゃんとしているんじゃないの……と検索してみると、なになに、素材はステンレスだぁ? はぁ……僕は金属アレルギーはほとんどないので大丈夫だと思うけれど、Ni アレルギーの人だったら問題なんじゃないのかねぇ。

まぁ、文句たらたら、のように思われそうだけど、せっかく買ったので、せいぜい大切に使っていくつもりだ。とにかく、今迄使っていたレンズが、コーティングは剥げ剥げだし傷はあるし、で、とにかく目に負担がかかってどうしようもなかったので、それに比べたらこのレンズでも雲泥の差なのである。

hot pepper

このエントリは、最近あまり使わなくなった Iceweasel(Debian 版 Firefox)で書いている。というのが、さっき update した Google Chrome で flash 関連が使えなくなったためだ。

そもそも、これの発端は先月……そう、もう先月になってしまったのだが、先月23日に Adobe が「今後は Linux 版の flash plugin はリリースしませんよ」宣言をしたことに端を発する。Adobe の roadmap によると、

Linux: Adobe has been working closely with Google to develop a single, modern API for hosting plug-ins within the browser. The PPAPI, code-named "Pepper", aims to provide a layer between the plug-in and browser that abstracts away differences between browser and operating system implementations. You can find more information on the Pepper API at http://code.google.com/p/ppapi/.

Because of this work, Adobe has been able to partner with Google in providing a "Pepper" implementation of Flash Player for all x86/64 platforms supported by the Google Chrome browser. Google will begin distributing this new Pepper-based Flash Player as part of Chrome on all platforms, including Linux, later this year.

For Flash Player releases after 11.2, the Flash Player browser plug-in for Linux will only be available via the "Pepper" API as part of the Google Chrome browser distribution and will no longer be available as a direct download from Adobe. Adobe will continue to provide security updates to non-Pepper distributions of Flash Player 11.2 on Linux for five years from its release.

Flash Player will continue to support browsers using non-"Pepper" plug-in APIs on platforms other than Linux.

つまり、今後、Linux での flash plugin は google の PPAPI(コードネーム "Pepper")ベースでフォローしていく、ということである。ついさっき update した手元の Google Chrome には /opt/google/chrome/PepperFlash/ というディレクトリが出来ていて、その中には libpepflashplayer.so というプラグインが入っているのだが、どうもこれがちゃんと機能していないらしい。

僕の手元で flash が死ぬと、実は結構あちこちで困ることになる。ファイル転送用に使っているサービスでは、ファイルのアップロードに flash が必要だし、地震速報の受信用に使っているプラグインも flash を使っている。おなじみのニコニコ動画も flash だし……うーん、これは結構困ることになるわけだ。

Apple などが flash を駆逐したくてしたくて仕方がない、という話があったけれど、今この瞬間においては、とりあえずないと困るのだ。Adobe 版の最終バージョンのプラグインを入れている Iceweasel でとりあえずしのいでいるものの、今後のことを考えると、はなはだ不安な状態だ……ということで、ブラウザを Chromium に変更。前からこうしようと思っていたのだけど、やはり私企業の供給するものは信用できないと思ってしまうのだった……

【後記】某掲示板で、about:plugins で NPAPI を有効、PPAPI を無効にしたらどうか、という書き込みを見て、about:plugins をチェックしたところ、まさにこれだったようだ。PPAPI が使いものになるまで、これでしのぐことにして、再び google-chrome-unstable に戻した。

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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