今、厚労省でこっそり進んでいることがある。いわゆる「3年ルール」の撤廃である。
小泉政権下で、特殊な業種に限定されていた派遣社員の制度が大幅に緩和された。しかし、ある職場、ある分野で安定に働くことが最低限保証されるように、この「3年ルール」というものがあった。具体的には、3年以上、ある職場で同一の人を派遣で雇うことはできず、使い続けたいならば正社員雇用をしなければならない、というものである。
しかし、現在、厚労省を中心として、この「3年ルール」を撤廃する方向で進行中だ、ということが、先日こっそりと報道された。つまり、使える人材を派遣のままで使い続け、会社の都合で一方的に派遣切りすることができるようになる、ということである。
思えば、民主党政権下でも、あの愚者のシンボルのような管直人が「1に雇用、2に雇用」と吠えながらも、結局は何もマトモな雇用政策を進めてこなかったわけだが、これに続いて、アベノミクスを標榜する自民党政権下においても、むしろ逆に、雇用者の都合の良い雇用形態による、雇用者の利益拡大というものがしれーっとなされているわけである。これがアベノミクスの内実だというならば、到底この国を再浮上させることなどできないだろう。だって、派遣で働いている人が、自分が職場で欠くべからざる存在になるべく努力精進する、その理由を奪おうってんだぜ? もうお話にもならない、そういう話なのである。
知り合いの中学生の子供がいる。野球部に所属しているそうなのだが、僕に会う度に、
「ねぇ、何か買って」
と言う。僕が色良い返事をしないでいると、
「あのさあ、俺、昨日試合があったんだけど」
「ほお。で、どうした」
「俺、先発で、コールドだったけど、完封勝利」
「それはよくやったなあ」
「でしょう?だから、何か買ってよ」
とうとう、僕の堪忍袋の緒が切れた。
「あのなあ、君は、野球頑張ってるんだろ?」
「そうだよ」
「だったらさ、その頑張った結果をどうしてそんなに安売りするんだ?」
「安売りって?」
「君は努力してその結果を得たんだろ。その努力は誰の為の努力だ?」
「俺の為」
「自分の為に努力して勝ち得たものを、君は平気でモノと引き換えにするのか」
「……」
「努力して勝ち得たものなら、どうしてもっと大事にできないんだ。それに俺だって、他人の努力だか努力じゃないんだか分からないものに、ホイホイ金やモノを出すようなお気軽な奴だと思われたかぁないよ」
「……」
「本当に、努力してそれを勝ち得たなら、それにはもっと誇りを持て。安売りするな!」
「……じゃあ、もういいよ」
哀しいなあ。どうしてこの子はこんなことも分からないんだろうか。それでは高みに至るなど夢のまた夢。ああそうか、そうしておけば、うまくいかなかったときの言い訳になる、ってか。哀しいなあ。
ibus-skk にしてみると、色々問題も出てくる。たとえば、パネルが出たり出なかったりする。これは最初期からある問題なのだけど、入力モードが分かりにくくて困る以外は実害がないので、あまり積極的に解決しようと思っていなかったのだが……まだそのままだったか。むう。
しかし、こんな問題は実はまだ大したことはないのだ。問題なのが辞書ファイルで、普段僕が使っている巨大な辞書ファイルを指定すると、まともに変換してくれなくなるのだ。これは地味に大きな問題である。
この問題も、実は最初期からそのままになっていたようだ。前にもこの問題で悩んだ記憶があるのだが、そんなことはすっかり忘れていて、今回は annotation のない辞書を作ってみたり……とじたばたやってしまった。散々やっても普段の辞書が使えないので、default の SKK-JISYO.L を指定してみると、あっさりうまく使えてしまうのだが……
では何か制限要素のようなものがあるのか……と、これを書くに際して何種類か辞書ファイルを作成してみたところ、どうやら JIS 第三・第四水準の漢字が入っていると ibus-skk の挙動がおかしくなるらしい。ということで、もしも僕と同じ問題で苦しまれている方がおられたら、JIS 第三・第四水準の漢字を含む辞書ファイルはマージされないことをお薦めする。
詳細に関しては目下更に調査中なので、何か分かったらまたここに書くことにしよう。
今朝、システムを更新したら、zenity がシステムから消えたことに気付いた。えらいこっちゃ。この zenity というツールは、Gtk と CUI の仲立ちをするもので、普段はその存在を意識することはないけれど、ないとエラいことになる。案の定、im-config などが起動しない状況になっている。おまけに Gtk 絡みのライブラリも更新のギャップにある状況らしく、SCIM が起動しない状況になっていた。
とりあえず様子をみることにして、他の仕事をして昼まで過ごし、さあ更新はどうなっているかな、と調べると、問題のライブラリ等は全て更新がかかっていて、元の状態に復元することができた。しかし……いつも使っている SRWare Iron 上で日本語を書こうとすると、SCIM の動作がひたすらに遅い。これでは使いものにならない。一体何があったのか。
少し考えてから、以前一度見切りをつけた iBus への更新をすることにする。なに、更新自体は大して手間もかからないのだが、以前問題になっていたことは……とチェックすると、一応問題は解消している模様。まだ、ユーザー辞書の挙動がちょっと怪しいのだが、これは後でまたチェックすることにしよう。
かくして、日本語変換システムを scim-skk から ibus-skk に変更。結局は SKK ベースだし、これで何も問題はない。それにしてもなあ。もし、SKK がなくなったら本当に困るよなあ……そんな日が来ないことを祈っておくことにしよう。
この blog に、このひと月程の間、何度となく SPAM 的なコメントがされ続けてきた。こういうときは、アクセスログを徹底的に解析するわけだけど、それも面倒な話である。
それにしても、僕の blog にバーバリーがどうのとかシャネルがどうの、と書き込んでも、とてもじゃないが売り上げが上がるわけがない。そもそも、そんなものに飛び付くような輩がこの blog を読みに来るとは思えないからだ。だから、僕の blog に粘着的にコメントを書き込んでも、商業的には何ら利益はないはずだ。それにも関わらず、このような書き込みを繰り返すのは、相手が余程ヒマ、かつ馬鹿なのか、それとも、いつぞや(その1 その2)のように、僕に対する一種の攻撃なのか、という可能性を考える必要がある。
アクセス元を調べてみるが、アメリカを中心に複数のサイトから行われている。しかし、どうも単純な spoofing だとは思われない。まあ Windows でアンチウイルスをちゃんとやっていない端末を乗っ取って、一種の proxy みたいにしてアクセスを行っている可能性だってある。とりあえず、片っ端からアクセスコントロールをかけることにする。
ちなみにこの blog がどこで読まれているか、という話だが、日本、アメリカ、ヨーロッパが多い。結構世界中からアクセスが来ているので、同業(?)関係者が多いんじゃないかと思うのだが、実際には中国辺りからもアクセスは来ているのかもしれない。以前の書き込みとの類似性から、今回のこの書き込みも中国からではないかと疑っているのだが、このグローバルなご時世、中国からのアクセスは .cn からだけではない。中国国内の .cn ドメインからのアクセスだったとしても、金盾をクリアする目的などで妙な proxy も使われているんだろうから、baidu のクローラー位しか、完全に特定できる書き込みはない。
書き込みを行っている輩の「持駒」と思しきアドレスを全てカットして、この数日は書き込みのない状態を維持している。しかし、これで今回の騒ぎが収まったとも思えない。それにしても、暇な馬鹿というのは本当に有害だ。人の貴重な時間を無駄にさせやがって。正体が分かったら、もう二度と fugenji,org にアクセスしたくなくなるようなメに遭ってもらうことにしよう(いや、あくまで合法の範疇でね)。
深夜1時位のこと。原稿を書いていたら突然電源が落ちた。おいおい、勘弁してくれよ……と、ブレーカーをチェックしてみると、マスター、サブ、いずれも落ちていない。ん?どういうことだ?
そのうち、妙なことに気付いた。一部の系統が生きているのである。正確には、3つあるサブのうちの1系統だけが生きている。玄関とキッチン、室内灯以外が生きている……とりあえず、冷蔵庫が生きていることで、まずはほっとした。給湯も生きているはずだから、シャワーを浴びるのには問題もないだろう。最低限の生活に支障がないことを確認して、とりあえずはほっとした。
しかし、これって一体どういうことだろう。外に出てみるが、同じフロアの他の部屋の様子はよく分からない。うーむ……しかし、マスターブレーカーの下にひとつでも生きている系統があるってことは、おそらくこれは室外だろう。ということは、このフロア全体、下手をするとこの建物ごとのトラブルかもしれないのだ。
とりあえず電力会社に電話をして、キッチンからタップで電源を引いてくる。よしよし、これで書きものはできるぞ、ということで、原稿を書きながら到着を待つ。
20分程して、外でクルマのドアを閉める音が聞こえた。来ましたね……電力会社のサービスマンが2人やってきた。彼らはプローブでブレーカーの端子をチェックしながら……
「あー、1相死んどるわ」
これで、何が起きているのか分かった。電源は、建物の手前まで三相交流という三線の形式で来るのだが、外のトランスで単相三線という形式に変換される。これは、交流2系統と共通のアースで、やはり三線になっている。この三線のうち、アースでない2本のうちのどちらかが切れている、ということだ。
二人のサービスマンは配電盤を見に行き、帰ってくると、
「このフロア全部落ちてるはずなんですが……」
と言っているところに、一番端に住んでいる女性が出てきて、
「あのー、電気がー」
あー、やっぱし。ということで、配電盤のヒューズ(ここの配電盤は未だにヒューズらしい!おいおい)を交換して復旧完了。時計を見るともう二時だ。もう、勘弁してくれよ、本当に……まあでも、朝にならずに済んだし、原稿も校正前の段階までは書けたし。しかし精神衛生上よろしくないよなあ……
ふとしたきっかけで、この春の愛知県公立高校入学試験の国語の問題というのを見ていた。
どうも、最近の中学国語というのはヘナチョコな代物のようで、漢文や古文は、いわゆる白文読みというのは一切出題されないらしい。古典・漢文共に現代語訳付きで、漢文に至っては書き下し文しか掲載されず、返り点のひとつも目にすることがないのだ。なんだかなあ……と思いつつ、その漢文の問題なるものを見ていたときのことだった。
2013年B日程の問題で、書き下し文が以下のようになっている:
管仲・隰朋、桓公に従って孤竹を伐つ。春往いて冬返り、迷惑して道を失ふ。管仲曰はく、「老馬の智用ふべきなり。」と。乃ち老馬を放つて之に随ひ、遂に道を得たり。山中に行くに水無し。隰朋曰はく、「蟻は、冬は山の陽に居り、夏は山の陰に居る。蟻壌一寸にして仭に水有り。」と。乃ち地を掘り、遂に水を得たり。管仲・隰朋の智を以てすら、其の知らざる所に至れば、老馬と蟻とを師とするに難からず。今人其の愚心を以て聖人の智を師とするを知らず、亦過ちならずや。
……で、この後に現代語訳が書かれ、その後に問題が続いているのだが、現代語訳の後ろの方を見ると、「(『蒙求』による)」と書かれている……へ?いや違うでしょう?
この漢文は、いわゆる「老馬の智」の基になった話なのだけど、僕が知る限り(そして weblio にも同じことが書かれていたけれど)、これは『韓非子』に載っているものだ。どうして『蒙求』なんて話になるんだろう?
改めて調べてみようと思い、岐阜女子大学・文化創造学部の住谷芳幸教授が公開されている、『蒙求』『蒙求聴塵』『蒙求抄』を電子化したデータを調べてみると、そもそも『蒙求』には管仲の名前すら出てこないのである。周辺を探してみると、『蒙求聴塵』の中に、
○管仲 春―春出陣して冬歸陣す 管仲曰―老馬は道を知る也 隰朋―山の陽は南也 山の陰は北也 蟻壤―蟻つか一寸あれは七八尺(の)下(した)に水あるもの也 仞は七尺也 今人不知―此は韓非子か評也 今(の)人は愚にして管仲ほともなく 5ウして聖人の智を師とする事を知らさるは過也
という記述があるのみである。
まあ、でも、これで明白でしょう。この出題者は、自分では『蒙求』なんか読んでいないに違いない。出題時にチェックすらしなかったに違いない。『蒙求聴塵』に、『韓非子(説林上)」にオリジナルが書かれているこの話が要約・掲載されていることを、どこで読み齧ったのか知らないけれど、この手のミスが示すことは明白だ。引用者はオリジナルにあたっていないのだ。よくもまあ、こんないい加減に作った問題で、人の人生左右するような試験をやってくれるよなあ。こんなの許し難いと思うけれど。