結局、Windows も

恐ろしい事態が発生した。Windows を HDD の先頭のパーティションに入れていたのだが、これがブートしなくなってしまった。見ると、どうも ntfs を Linux で扱っていたときに、パーティションに関する情報が壊れたらしい。さあ、どうするか……観念した。まだ Linux からこのパーティションを扱える段階で重要なファイルのバックアップを取り、ちょっと前にとった Linux 側のバックアップと合わせて、shannon 上の全部システムの総入れ替えを行なうことにしたのだ。

で、さっきようやく Windows の復旧が終わり、デフラグをかけているところである。僕は Windows 固有のロールバックシステムやインデックスシステムを全く信用していないので、これらをすべて停止させて HDD の不要なファイルをすべて削除した。ユーティリティのインストールが終了するまでは、仮想記憶も切って、ページファイルも削除した状態にしてあるのだが、この状態でシステムはどの程度 HDD を食っているだろうか。ちなみに前にも書いたけれど、shannon のシステムは Windows Vista Home Basic X64 である。

答は……なんと28 GB。上に書いたようなことをしていないと、default では 100 GB 近くも HDD が消費され、しかもロールバックやインデックスに関わる部分は常に書き換えられているから、フラグメントがそりゃあ無残な状態になっているはずなのだが……世間の人達は、本当にこんな状態で皆システムを使っているのだろうか? 僕にはちょっと信じられないのだが。

反吐が出る

まあ、Twitter とか SNS のサービスとか facebook とか、世間には「つぶやく」メディアが数々あるけれど、地震や原発絡みで、さも自分はそういう事々の痛みに心を向けているのだ、と装っているらしき輩が最近目について仕方がない。

たとえば、先日、我が郷里茨城県で、原発事故が発生したと想定して、県内にあるバス等を総動員して県民を避難させることが可能かどうか、という試算が行われた。

【茨城】県内のバス総動員しても24万人どまり 東海第二原発 一斉避難は不可能

東海第二原発(東海村)の再稼働問題をめぐり、橋本昌知事は五日の県議会本会議で、同原発事故が発生した場合の避難について「県内のバスを総動員しても一回に二十四万人しか搬送できない」との試算を示した。三十キロ圏内の自治体の総人口は百六万人で、知事は「一斉に避難させることは不可能」と述べた。井手義弘氏(公明)の代表質問に答えた。

県によると、把握している県内の路線や通学、自家用等の全バス約七千台に平均定員の約三十四人を掛けて試算した。震災などの大災害時の混乱や道路損壊などを考慮すれば、県内各地から三十キロ圏内にバスが集まり、運び出すことも難しいとみられる。知事は「国が防災対策等、どう方針を示すか注目する」と加えた。

また井手氏は、原発の稼働は原則四十年と国が示したことを受け、三十三年経過した東海第二原発は稼働期間が残り少ないとして、その後の村の将来像も質問。知事は「これまでに蓄積した村の施設や優秀な研究者を生かし、つくば市とも連携して世界最大の巨大加速器を備えたスイスの欧州合同原子核研究所(セルン)のような科学拠点都市として発展することを期待する」と述べた。

(2012年3月6日, 東京新聞)

まあ、これは深刻な話である。現在、茨城県内には商業用原子炉は東海第二原発にある1基しかない。しかも首都圏に近く、常磐高速もあってクルマ交通の便が良い茨城県でこの状態である。他の都道府県においては、これより問題が深刻であることは言うまでもない。

しかし、これを読んだらしい輩の、こんなつぶやきがその直後に僕の目に入ったのだ:

逃げられないのか茨城。
……はぁ。たとえば愛知県辺りだとして、これがそんな他人事だと思っているのだろうか?繰り返しになるけれど、茨城県には商業用原子炉はたったひとつしかない。しかもその規模は小さい。隣の県、しかも東海地震の中心と目されているところに、あれだけの数・規模の商業用原子炉が集中しているところに住んでいて、どうしてこれを我が事として捉えられないのか。

まあ、僕には何となく分かるのだ。全て、事々は big brother の御旨のままだ、と、そこにどっかと胡座をかいて暮らしている人だからこそ、こんなことを平気で書き散らかせるのだ。他者が家族や人生の重みを負うて生きることに、ここまでの傍観者的なコメントを書いて何ら恥じずにいるのだ。論を重ねて研ぎ澄ますことと、論を無意味に混練した挙句に何もかもを混濁させることとの区別が付いていないのだ。

これは何度も書いていることだけど、僕は小学生の頃にビルの7階で宮城県沖地震に遭遇し、大学院生時代に活断層のすぐ横で阪神淡路大震災に遭遇した。今回の地震でも、親父はビルの上階に閉じ込められ、教会や知人宅は石塀が皆倒れ、そして(今まで書きたくなかったのだが今回はあえて書く)福島・相馬に住んでいた親戚はひどい目に遭っている。そう、僕の母方の親戚の一家族は相馬に住んでいたので、今回の件は全くもって他人事ではないのだ。だから、さもそれが分かっているかのような顔をして、ネットで情報を拾い、講演会等にちょろっと行った位で、自分は何もかも把握しているんだ、という顔で軽口をたたいている輩を見ると、正直言って殺意すら感ずる。

おまけに、ネットで情報を吟味することなく収集し、「つぶやい」て「拡散」する、なんてのは、有害だと言う他はない。一応「知ること」を生業とした人間として断言するけれど、我々に第一に必要なことは「知る」ことではない。何かをただ知っても、知ったことの価値を知り、取捨選択することができなければ、演繹的に未知の領域や未経験の事柄に踏み込むことなど出来はしないのだ。そういうことを欠いた浅はかな「知る」行為の結果を、我々は浅知恵という。

我々に第一に必要なことは「知る」こと以前に、「知らない」ことを知ることなのだ。闇を知らずして、そこを照らすことができるはずがない。我々が他者に誇れるのは、吟味されていない物量だけの知識を披瀝することでも、それを蓄積しようと遮二無二あがくことでもない。まず、己の内面に問いかけることなのだ。自分は知らないのではないか、と。僕の経験則として、その抑制を感じられない輩は、知の領域において百害あって一利もない、ただの迷惑な存在でしかありえないのだ。

愛知県というところに住んでいると、本当に厭になる程感ずることだけど、東海地震に備えよ、という話がされるようになってから数十年が経過して、今回の地震に関して、比喩ではなく「明日は我が身」なのにも関わらず、まるで他人事みたいに、日常会話のネタのように軽口を叩いている人々を、僕は彼らの他に知らない。僕が住み出した頃の大阪は、地震の話をしてもピンとこない、という人が多かったけれど、あの阪神淡路大震災でそれもすっかり変わってしまった。もう、そんな寝呆けた連中が大手を振っているのは、この辺位しかないのではないか。

あいたが、という言葉があるけれど、この土地で、僕はこの言葉を一度も耳にしたことがない。僕の郷里の水戸はもともと武家の町だったせいか、僕は幼い頃から、僕を可愛がってくれた爺様達や親父から、聞くともなく聞いて育ったのだけど、名古屋とかって、同じ武家社会の土地じゃなかったのかね?僕がこの土地で聞いたのは、

「東海地震? ああ、どうせ来ないから(笑)」

なんて軽口だけなのだけど。

latex2html(まとめ)

今更ではあるのだが、この blog の関連エントリが TeX Wiki にリンクされているようなので、一読してインストール・使用ができるように、まとめを作成しておく。

当方が UNIX 系の環境をメインに使用しているので、ここでは Linux や Mac OS X 等の OS を前提として書く。Microsoft Windows を使用されている方は、北海道教育大学旭川校・物理学教室・阿部ゼミ半公式ページ で公開されている『Windows に LaTeX2HTML をインストールしよう』を参照されるといいだろう。

latex2html を使用するにあたっては、まず TeX / LaTeX が問題なく使用できる環境を整える必要がある。当方は Linux (Debian GNU/Linux sid) 上で TeX Live 2011 を使用しているが、tlptexlive を追加していても、MacTeX 等を使用されていても、おそらくあまり変わらないプロセスで使用できると思う。

これに加えて、latexhtml は、プレインテキストで記述できない数式などを画像として取扱うために netpbm を使用するので、事前にインストールする必要がある。最大前提として perl、そして日本語を扱うので nkf 等も必要になるのだが、これらに関してはほとんどの distro では最初から入っていると思う。

さて、まずはこれから何をどうするのか、だけど、

  1. latex2html 本体と、日本語化パッチのアーカイブ取得
  2. 上記2アーカイブの展開
  3. configure, make, make install
  4. 個人設定ファイルの設置・設定
という手順で作業を行っていく。以下、順に説明する。

まず本体および日本語化パッチのアーカイブだけど、日本語化パッチの開発者である、新潟工科大学の竹野茂治氏のページにアクセスする。index ページから TeXLaTeX2HTML について ……と辿っていくと、

"LaTeX2HTML (Japanese)": http://takeno.iee.niit.ac.jp/~shige/TeX/latex2html/ltx2html.html
というページに行き着く。ここでは latex2html-2002 以降に関する網羅的な情報が書かれているのだけど、現時点での最新版を入れるために、このページ中『LaTeX2HTML 日本語化パッチ開発版のページ (Japanese)』を見ることにする。

ここには、現時点で最新の latex2html-2008 に適用するための日本語化パッチが公開されていて、オリジナルの latex2html-2008 のアーカイブにもリンクが張られている。ここからまず、latex2html-2008.tar.gz と、現時点での最新のパッチである l2h-2K8-jp20110708.tar.gz を取得する。

上記2アーカイブを同じ path に配置して、本体 → パッチ の順(逆でもおそらく大丈夫だけど念の為)に展開すると、latex2html-2008 というディレクトリが生成されている。ここに入って ls すると、

  • l2h-2K8-jp1.10b2.13.patch(以下 jp1 patch と称す)
  • l2h-2K8-jp2.1b1.13.patch(以下 jp2 patch と称す)
と、2種類の patch が存在することがわかる。jp1 patch は、日本語を取扱う際に nkf を使用する仕様になっている。これに対して jp2 patch では、日本語のコード変換を行わない。この差は何か、という話だが、アーカイブと共に公開されている文書:README.tech.jp-20110708 に詳細な記述があるので、そちらを御参照いただきたい。

ざっくりした話だけ書いておくと、jp1 patch は全ての文字コードに対して対応可能だが、いちいち nkf を介して処理が行われることになり、後で出てくる設定ファイルで適切な文字コードの設定をする必要がある。jp2 patch は、EUC-jp や UTF-8 で文書を扱う限りにおいて、あまり面倒な目にあうことはない。僕は現在 UTF-8 ベースの日本語環境を使用しているので、ここでは jp2 patch を適用することにする。

patch の適用は、単純に、

$ patch -p1 < ./l2h-2K8-jp2.1b1.13.patch
とすればよい。これでディレクトリ内のファイルに対してパッチが適用される。

次に configure だが、注意する点は:

  • --prefix
  • --with-texpath
  • --with-kanji
の3オプションを適正に設定することである。prefix は latex2html の本体である perl スクリプトがインストールされる場所、texpath は latex2html に関わる TeX / LaTeX 関連ファイルがインストールされる場所、with-kanji は使用する文字コードを設定するわけだが、これらを明示的に指定しておく方がいいだろう。

まず prefix だが、default は /usr/local になっている。この場合、

  • [prefix]/bin: 実行形式のファイル
  • [prefix]/lib/latex2html: ライブラリ等
のようにインストール場所が決まる。ひとつ注意しておかなければならないのが、prefix で指定する path の文字列に "l2h" や "latex2html" が(大文字、小文字のいずれの場合でも)入っていると、
  • [prefix]/bin: 実行形式のファイル
  • [prefix]/: ライブラリ等
となってしまう。考えられるパターンとしては /usr/local/l2h や /home/foo/latex2html 等に入れようとする場合があるだろうけれど、この場合には注意すること。

texpath は TeX / LaTeX 関連のファイルが置かれる場所で、これは default は /usr/local/texlive/2011 内になってしまう。これに抵抗のない方も多いのかもしれないが、今回のようなユーティリティのファイルは /usr/local/texlive/texmf-local 以下にインストールされることをお薦めしておく。

kanji オプションは文字コードで、default は EUC-jp である。僕のように UTF-8 ベースの環境で使用する場合には、このオプションで明示的に UTF-8 を指定しなければならない。

以上から、僕の場合の configure のオプションは:

./configure --prefix=/usr/local --with-texpath=/usr/local/texlive/texmf-local/tex/latex/latex2html --with-kanji=utf8
となる。

configure が終われば、そのまま make → sudo make install でインストールが行われ、ls-R の更新等も自動的に行われる。これでインストールは終了である。

あとは、ソースのディレクトリにある dot.latex2html-init-jp を home にコピーすれば良いのだが、これも latex2html で使用する文字コードに合わせる必要があるので、

$ cat dot.latex2html-init-jp | nkf -w > ~/.latex2html-init
のようにコピーを行った後、適宜、設定ファイルを編集していただけばよろしい。ちなみに僕はほとんどそのままで使用している。

元の木阿弥

今日は時間があったので、環境のリフレッシュということで shannon の再インストールを行った。再インストールといっても、/home はもともと別パーティションにしてあるし、めぼしいものは皆バックアップされているので、そう面倒な作業でもない。

ところが、作業中にふと気付いた……あれ、sudo の挙動が変わってるなあ。/etc/sudoers を見ると、

Defaults        env_reset
で環境変数の持ち越しが抑制され、
Defaults        secure_path="..."
で sudo したユーザに新たな path が指定されるようになっている。へー。

いやね、分からないでもないんですよ。これ、一応はセキュリティの対策……のつもりなんでしょうけれど、でもねえ。環境設定で、

alias sudo="sudo env PATH=$PATH"
と alias を指定されたら、もう意味がないような気がするんだけど。

まあ、これは思うに、本当に secure にしたいんじゃなくって、 insecure にならないようにしましたよ、この上で alias で環境変数持ち越してトラブったら、それはこちらのせいじゃないですからね……と、/etc/sudoers が語っているような気がしてならない。世はなべて、責任回避に懸命なんだなあ……と思うと、何とも嫌になる話であった。

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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